聖女じゃないと見捨てておいて今さら助けてとか無理なので、どうぞ放っておいてください!


「すみません、取り乱してしまいました」

 しばらく呆然と『起源の宝珠』を見ていたセルヴァさんが、はっとして私に謝った。
 デルたちは本当にうれしそうに、きゃんきゃんと私の周りを回っている。

「それにしても…聖獣であるフェンリルをテイムして従えてしまわれるとは……
 なんと申し上げればいいのか……」

「この子たちが自らペットになりたいと言って、なってくれたんです」

「聖獣が自ら……ですか?」

「はい。勝手にステータス画面が出てきました」

 私の言葉にセルヴァさんは、いまだ信じられないといった表情をした後、頭をかかえた。

「……聖獣を人間がテイムしたなど初めて聞きます」

「え!? そうなんですか!?」

 私がデルたちを見ると、ものすごく褒めてと言わんばかりに尻尾を振っている。

 くぅ、かわいいなもぅ。

 もう恋なんていらない。私はペット愛に生きてやる。
 私がよしよしと三匹の頭をなでていたら──。

 ぐごごごごごごごごご。

 ものすごい轟音とともにいきなり地面が揺れる。

「な、なにっ!?」

 私は怖くなって、思わず近くにいたアルに抱きついた。
 すると、なにか巨大な真っ黒なものが地面から出てきた。
 見かけはどこからどう見てもRPGとかに出てくるモンスター──醜い容姿にムキムキの体、巨大な角と牙と羽をもつデーモンだ。

「まさか魔族。『起源の宝珠』を闇に染めていたのは、この魔族だったのか!?」

 セルヴァさんが驚きの声をあげ私を引き寄せ、抱きしめた。

「ぐおおぉぉぉぉぉぉぉ」

 デーモンの雄たけびとともに、無数のサッカーボールくらいの大きさの岩がこちらに飛んでくる。

 けれど、セルヴァさんが棍棒のようなものを振り回して、全部叩き落としていった。
 セルヴァさん神官だから魔法を使うのかと思いきや意外と力業!?
 私が「あわわわ」と慌てていれば、三匹も私を守るように、前に立つ。

 それでも──怖い怖い怖い。

 デーモンめちゃこっち見てる。しかも口から変な黒い霧を出しながら。

「聖獣様、私が補助魔法をかけます。クミ様を安全な場所に避難を!」

「わんっ!」「きゃん!」「わんわんっ!」と、セルヴァさんとデルたちが戦闘について相談している。とりあえず私もなんとかしなきゃ。

 私は慌ててステータス画面を出して、『指定』を使用する。

【デーモンを倒しますか?】と表示されたので、迷わず「はい」のボタンを押す。すると──。

 ばぁぁぁぁぁん!

 デーモンはそのまま砕け散った。そりゃもう一瞬で。

「……は?」

 セルヴァさんと、デルたちが信じられないといった表情で私を見た。

 その間にもピコンピコンと音が鳴り、現れたステータス画面に【レベルが上がりました】と何度も表示される。

 呆然としているみんなににっこり微笑んでみるけれど、しばらくみんなの無言が続く。

 いや、なにこれ無言怖い。
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