聖女じゃないと見捨てておいて今さら助けてとか無理なので、どうぞ放っておいてください!
ふよふよふよ。
デルたちについてしばらく歩いていると、彼らの力のせいなのか、セルヴァさんの体が勝手に宙に浮き、私たちの後をついてきている。
私の持っていた重い荷物もふよふよ浮いて、一緒に移動している。
先頭には一番大きいデル。アルとベガは、私とセルヴァさんを両脇からはさむようにして歩いていた。
「ねぇ、どこに行くの?」
デルたちが案内してくれようとしている場所は、気のせいか先ほどより黒い霧が多くなっている気がする。
まさかデルたちに騙(だま)されていないよね?
いやぁ、ここにきてデルたちにまで裏切られたらもう立ちなおれない気もする。
私がチラリとアルを見ると「はっはっは」と期待のまなざしでこちらを見ていた。
うーん、また治してほしい子がいるとか?
先頭のデルが足を止め、私もそこで足を止めた。
そこは神殿の祭壇のような場所だった。
朽ち果てた神殿のようで、ボロボロの柱などが立ち並ぶ古代の遺跡のような場所。少し開けた所に、黒いオーラをまとったまがまがしい色の宝石が置いてある。
……やっぱり呪いを解いてほしいのか。
私がステータス画面を出して、『指定』スキルを使う準備をする。
【『起源の宝珠』の呪いを解きますか?】
《はい》《いいえ》
「はい」を押そうとした時──。
「……ここは?」
ベガの隣で寝ていたはずのセルヴァさんが目を覚ました。
私がなにか話しかけようとする前に、セルヴァさんは宝石を見て驚いた表情になる。
「『起源の宝珠』っ。まさかここまで闇にのみ込まれているとはっ!?」
私の姿を確認するや否や、慌てて立ち上がる。
「離れてください、そこにいればあなたも闇にのまれますっ! すぐ逃げっ……」
セルヴァさんが私の肩をガシッと掴(つか)み、その反動で「はい」ボタンを押してしまう。
ぱぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
ボタンを押すと同時に宝石の黒いもやは霧散し、森全体を覆っていた闇のような黒い霧も晴れていく。
「え、なに……?」
私が慌てて周りを見渡すと、セルヴァさんがものすごく驚いた顔をした。
「もしかして……これをあなたが?」
セルヴァさんの視線の先には、先ほどまで真っ黒だったのに、巨大なルビーのようになった赤い宝石が、宙に浮いていた。たぶん呪いが解けたのだと思う。
「あ、はい。なにかまずかったですか?」
私がそう言うと、セルヴァさんは首を横に振る。
「い、いえ、このようなことができるとは、思いませんでした。
聖女の職を持つ者でさえも、一度闇にのみ込まれた宝珠に対して、闇の魔力を抑えきるのは難しく、一時的に力を弱めることしかできません。
このように闇を振り払うなど……」
真っ赤な綺麗なルビーの塊のようになった宝石をまじまじと見ながら、
「前代未聞です……」
と、つぶやいた。
うーん。すごいことを成し遂げたって思ってもいいのかな? って、キリカよりすごいってこと?
それは純粋にうれしいかもしれない。あんなにあっさり人を見放して。
絶対後で、見返してやるんだから。そして慰謝料請求してやるっ!