聖女じゃないと見捨てておいて今さら助けてとか無理なので、どうぞ放っておいてください!
「では、私も聖女になるのでしょうか?」
「いえ、ステータス欄の職が空欄だったことから、職業という意味では聖女様ではありません。
私の知る限り、異世界人で召喚され、職業なしというのは聞いたことがありませんし、職業なしなのにスキル持ちというのも初めて聞きます」
「えーっと、じゃあ?」
「申し訳ありませんが、私の知識ではあなた様がどういった存在なのかは判別できません。
かなりイレギュラーな存在であるのはたしかだと思われるのですが」
イレギュラーかぁ。
いいことなのか悪いことなのか、判別はつかない。
ただ、ファンタジー小説や漫画の異世界転移物ならすごい存在といえるのかもしれない。
この世界ではどうなんだろう?
そんなことを考えていたら──。
ぽんっ!
私の右の足もとに唐突にスライムが湧き出た。
すると、セルヴァさんが棍棒のようなもので、ばしんっ! と何事もなかったかのように叩きつぶした。
「えっ!?」
「ああ、申し訳ありません。
セーフティーフィールドではないため、モンスターがスポーンしますので、お気をつけください。
念のため結界は張っておりますが、高位のモンスターを完璧に無効化することはできませんので、ご了承ください」
と、祠の四隅に置かれた変な三角形の物体を見る。
この祠に着いた時、なにかしていると思ったけど結界を張っていたみたい。
「ちょ、ちょっと待ってくださいスポーンって……」
「ああ、あなたの世界ではモンスターはスポーンしないのでしたね。
この世界ではセーフティーフィールド以外の場所では、モンスターが自然にスポーン……湧きます。そ
のフィールドによって湧き出るモンスターのランクは違います」
「ランクですか?」
「モンスターの人間に対する危険度やモンスターのレベルでランクが区分されて、ランクが上がるごとに危険度が増していきます。
そしてここで湧くのは人間が相手をするには危険と言われるランク3のものがほとんどです。
私の張った結界は、ランク3のものをランク1にするのがいいところなのです」
説明するセルヴァさん。
ゲ、ゲームだ。この世界、絶対ゲームの中だと思う。でもなんのゲームなのかわからない。
「どうかなさいましたか?」
私が考え事をしていると、セルヴァさんが心配そうに話しかけてきた。
「あ、はい、なんでもありません、すみません。
でも不便ですね、これって建物の中でも湧いちゃうんですか?」
「はい。街や神殿などは、セーフティーフィールドにあるのでそのようなことはないのですが。
野外やダンジョンなどではどうしても防ぐことができません。
このように結界でモンスターが湧くランクを落とすくらいで精いっぱいです」
「なんだかゲームみたいですね」
「異世界の方にはよく言われます」
セルヴァさんが申し訳なさそうに苦笑いを浮かべた。
「それも『指定』で変えられちゃったりして」
私がなんとなくスキル『指定』を地面に設定してみる。
【フィールド設定を変更しますか?】
50m×50m四方のフィールドを設定できます
セーフティーフィールド(安全地帯)
初級(モンスターが湧かない)
野外フィールド(山、森、平原、川、海)
初級 ランク1(モンスターレベル1~10) 初級 ランク2(モンスターレベル10~20)
ダンジョンフィールド(地下迷宮)
未取得
現れた画面に私と、セルヴァさんの動きが止まるのだった。