聖女じゃないと見捨てておいて今さら助けてとか無理なので、どうぞ放っておいてください!


「ま、まままままさか、フィールド設定を変更など、そ、そんなことが可能なのですか!?」

「え、えーっとできちゃうみたい?」

「ま、待ってください。宝珠の呪いを完全に浄化し、魔族を一撃で倒し、さらにそのようなことができるのなら、聖女など比べ物にならないほどの存在ということにっ……!?」

 画面をワナワナと指さしながら言うので私はうーんと考えた。

 たぶんできると思うけどSPの残りは2。0だったはずだけど休憩している間に回復したのかな? レベルが上がったので最大SP値は増えたけれど、SPの残りは2のままだ。

「これ使っちゃうと残りSP0になりますけど使ってみますか?」

「はい、SPは休憩すれば回復しますので、できれば、お願いしてもよろしいでしょうか?」

 セルヴァさんの言葉にうなずいて私がぽちっとボタンを押すと、床がぴかぁぁぁぁっと光る。

 光が収まった後、セルヴァさんが自らのステータスを開き、鑑定ボタンを押すと、きっちりとセーフティーゾーンと記載されていた。

「これで安全な寝る所、確保ですね」

「ま、まさか本当に………」

 わなわなとステータス画面を見ながら呆然としているセルヴァさん。

「あのー……セルヴァさん?」

 私が問うとセルヴァさんがはっとする。

「も、申し訳ありません。これは、早々に追放されたのは正解だったかもしれません」

「正解ですか?」

「この能力を他者に知られれば、あなたは延々とスキルを使うだけの作業をさせられたでしょう」

「えーっとそれっていいことのような?」

 みんな安全地帯になるのはいいことのような気もするけれど。

「たしかにセーフティーゾーンが増えれば人類が住める土地が増え、人口も増えていいことのように思えますが……」

 セルヴァさんはそう言ってうつむき、言葉を続ける。

「ですが、この世界は今でも人口に対し食料が不足する状態が続いています。
 貧しさゆえ、働き手を増やそうと子を産み、人口が増え、さらに食料が足りなくなっているのが現状です」

 少し悲しそうに告げる。

「また各地でスポーンするモンスターの量が減ったことにより、ほかの場所で湧くモンスターのレベルが異常に高くなってしまう可能性などを考慮しなければいけません」

「なるほど、たしかにそうですね」

 湧き出る水の量は変わらないのに、複数ある出口を考えなしに塞いでしまったら、出口がなくなったぶんほかの所から水が大量に噴き出すみたいなことにならないとも限らない。
 そこはちゃんと検証しないと。

「優秀な指導者のもと、フィールド設定の変更作業が行われるなら問題はありません。
 ですが、今この大陸の中枢にいるのは、あなたのスキルも確認することなく追放した大神官です。
 彼のような私利私欲しか考えられない指導者のもと、フィールドの設定変更など行うのは危険です。
 自らの権力のためだけにセーフティーフィールドを増やすことでしょう」

 頭を押さえて言うセルヴァさんの言葉に私はうなずいた。
 うん、あの神官ならすごくやりそう。
 美形だけど、いかにも悪役ですって感じの金髪の初老の神官を思い浮かべ、私は思う。

「だいぶ話がそれてしまいました。
 まだ説明しなければならないことも多々ありますが、今日はここまでにしましょう。
 とりあえず日も暮れかかってきています。
 なにか食料を確保しておかないといけませんね。
 闇に冒されていない木の実などがあればいいのですが」

 セルヴァさんが棍棒を手に立ち上がった。

「あ、それなら、ありますよ」

「え?」

 私はデルたちが運んでくれたクーラーボックスをパカリと開けた。

 入っているのはソーセージと焼きおにぎり。
 あと少々の肉と調味料。水のペットボトル二本。
 肉は串刺しにしてちゃんと前日から下ごしらえしたので、味はばっちりのはず。
 ハーブソルトで下味をつけた牛ロース、硬めにゆでたジャガイモにガーリックソルトをかけたもの、オリーブオイルに漬けたパプリカ、ズッキーニを刺した串焼き用の牛もも肉。

「これは色とりどりでおいしそうですね」

 セルヴァさんに串を渡すと、彼はそれをまじまじと見て言う。

「おいしいと思いますよ。
 がんばって会社のみんなで作りましたから。今から焼きますね。
 あ、そういえばセルヴァさん」

「はい?」

「ものを冷凍させる魔法は使えますか?」

「ええ、初歩のものなら」

「よかった、あまった分は凍らせられますね、これで何日かは持ちますね」

 私が言うと、セルヴァさんが「あ、はい」と間の抜けた声をあげた。
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