聖女じゃないと見捨てておいて今さら助けてとか無理なので、どうぞ放っておいてください!
「さて昨日は食事の準備で話を中断してしまいましたが、今後についてお話ししないといけませんね」
「今後ですか?」
ふたりで焼きおにぎりを食べた後、祠で私たちは話し合っていた。
「まず現在、状況は最悪といえます」
「最悪……ですか?」
「はい。ここはダルデム聖王国がほぼ大陸を支配しています。
この大陸に存在するほかの国々は表向きでは独立国家となっておりますが、実質はダルデム聖王国の属国だと思ってください。
ダルデム聖王国はダルデム教の大神官が、宗教上の権威も国の執政をも握っております」
セルヴァさんの説明に私はうなずいた。
つまりあの私を捨てた性悪神官がこの大陸の一番偉い人ってことだよね。
たしかに状況は最悪すぎる。
「そして『起源の宝珠』を浄化できる聖女召喚ができるのは、このダルデム教の高位神官のみです」
そう言ってセルヴァさんが地面に棒で地図のようなものを書いてくれた。
「『起源の宝珠』は世界各国に存在し、その地を光で浄化し続けています。
『起源の宝珠』は聖女の浄化なしに放置しておけば、闇に冒され、この森のように周りを闇に染めてしまいます」
「それは困りますね。こういった森がたくさんあるということでしょうか?」
「はい、森だけではありません。
この宝珠は人間の住む国にも必ず存在します。
それゆえ『起源の宝珠』を浄化できる聖女召喚ができるダルデム聖王国に逆らえる国は存在しません。
つまり、ダルデム教に目をつけられてしまった私たちが人間の世界に戻るのはとても危険といえます」
「危険?」
「私たちが生きていると教団に知られれば指名手配されるでしょう。
どの国に潜伏したとしてもダルデム教の神官がいるので追われ、逃げきるのは困難かと。
神官職は皆他者のステータス画面で名前を確認できるため、偽名で街に潜伏することもできません」
「えーっと、それはつまり」
「最低でも私たちが死んだと判断される程度の期間は、この森に潜伏するしかありません。
頻繁に身元調査を行うことがあるため、神官から隠れて街で暮らすのはほぼ不可能に近い。
ですが、あなたが森での原始的な生活が無理だと判断するなら別の方法もあります」
「どんな方法でしょうか?」
「あなたの能力を明かし、教団に聖女として迎え入れられる方法です」