悪役令嬢の復讐マリアージュ
なのに、すぐに対処しなきゃと思ったところで。
再び唇が重ねられた。

そのキスは、すごく優しくて……
めちゃくちゃ甘くて……
とろりと蕩けて……
ついまた、我を忘れそうになるも。

いや、いい気になってる場合じゃない!

「っ、もういいでしょっ」
楓くんの胸を押しながら顔を背けて、キスから逃れる。

続けて「疲れたから部屋に戻るわっ」と、下着を探した。

「ここで寝ればいいじゃん」

「そんなのムリっ、ていうかそう!
私には色々、寝る前のルーティンがあるのっ」
そう誤魔化して、パジャマを回収するも。
下着が見つからなくて……

「はい」
見つけてくれた楓くんから渡される。

「ぎゃああ!」
慌てて奪取すると。
例のごとく、クックと笑われる。

なんだかもう色々とキャパオーバーで、一刻も早く立ち去りたくて。
布団の中でそそくさ服を着ると。

「あとシーツ、汚れてるかもしれないから、新しいのを持ってくるわっ」
言いながら、片端からぐるぐる剥ぎ取り始めた。

「いいよ、俺がやるから」

「私が嫌なの!
いいからどいててっ」
と強行突破して。

問題なくシーツ交換を終えて。
ムードなく初体験を終えたのだった。



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