悪役令嬢の復讐マリアージュ
「手伝うよ。
一緒に食事して帰らない?」

なにこの社内恋愛みたいな状況!
実際は夫婦なのにキュンとしてしまう。

「け、結構よ。
あなたが手伝える事はないし、遅くなるから先に帰ってて」

「じゃあ教えてよ。
俺的には勉強になるし。
飲み込みは早い方だから、2人でやった方が早く終わるよ」

いや早い方どころか、めちゃくちゃ早いのは知ってるけど。
残業まで一緒にいたら、早い段階でキャパオーバーになって……
何やらかすか分からない!
なにより。
慣れない部署で働く楓くんには、少しでも身体を休めてほしかった。

「私は1人の方が捗るの。
食事も、家政婦が健康的なものを用意してくれてるわ」
という事にしておく。

「むしろ、邪魔だから帰っ、」
そこで大きな落雷の音がして、ビクッと身体を揺らしてしまう。

すると、ナイスなタイミングで。
「杏音大丈夫かっ!?」
雷が怖い事を知ってる大貴が、バタバタと駆け込んできた。

だけど、楓くんを目にして。
「っと、大丈夫そっすね……
じゃあ俺は、巡回に戻りまーす」
気まずそうにペコリとして、踵を返した。

「待って大っ、痛っ!」
恐怖でトイレに行きたくなって、慌てて引き止めたら。
追いかけようとした足を、デスクの足にぶつけてしまう。
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