ときめきの香りは貴方ですか?
城崎さんに送り出されて、私はマイクの前へと向かった。
お辞儀をしたときに、大きな深呼吸をして、笑顔を作る。

さっき、城崎さんが言ってくれた言葉を思いだし、顔を上げ、マイクに向かって、スピーチを始めた。

終わった後、一瞬静寂になって、とても不安になったのも束の間、拍手が湧き起こった。

私は、一礼をして、裏方に戻った時、急に足が震え、しゃがみ込んでしまった。

「愛里ちゃん!」
なっちゃんが駆け寄って来てくれた。

「なっちゃん、ごめん、安心したら、急に震えが来ちゃって・・・」
「凄かったよ!かっこよかった!」
なっちゃんは私を抱きしめてくれた。

「ありがとう。なっちゃん、私のことはいいから、皆のこと手伝ってきて」
「分かった。じゃあ、城崎さんにだけ声かけとくから」
そういってなっちゃんは、戻って行った。

終わるまでこのまま待ってよう。でも、無事終わって良かった。

「お父さんとお母さん、今日の姿見たら、きっとびっくりするだろうなぁ」
ううん、びっくりどころか号泣するよ、きっと・・・

「大丈夫か?」
城崎さんが私の前にしゃがんで私の顔を覗きに込んだ。

「大丈夫です。すみません、終わったら急に足が震えてきて、力が入らなくなりました」
「お疲れ様。風谷さんのお陰で助かったよ。それに、スピーチの時、堂々として感動した」
「城崎さんのお陰です。私が楽しくないとって言葉が力になりました」
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