ときめきの香りは貴方ですか?
【明かされる真実と叶わぬ恋】
あのイベント以来、城崎さんがちょこちょこ来ては私をからかって帰って行く。

ある日、
「永富さん、ちょっと風谷さんに手伝ってもらいたくて、今日、俺に同行してもらってもいいですか?」

城崎さんが私の外出許可を依頼していた。
「他に誰かいるだろう?」
「それが皆出払ってるか、会議があるんで出れなくて」
「会議?会議なら後から報告で足りるだろ」
「先方が、この間のイベントで風谷さんのスピーチに感銘を受けたからって、うちに依頼してきたんですよ。風谷さんが行く方が、相手の気持ちが動きやすいので」

「あの・・・私今手が空いたので、大丈夫です」
私が声をかけたことで、永富さんも断るのを止めた。

「私、準備しますんで、城崎さん、ちょっとだけ待っててください」
「あぁ、助かるよ。ゆっくりでいいから」
「はい、でも直ぐ準備できますから」
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