ときめきの香りは貴方ですか?
そう言って私が席を外すと、険しい顔をして城崎さんが、永富さんに近寄って何か話をしていた。
仲良く話している様子ではなさそうだ。

最近、あの2人、何だかよそよそしい。

★嫉妬  〜永富&城崎〜★

「永富さん、仕事に私情挟まないでくださいよ」

「私情挟んでるのはお前じゃないの?」

「俺は、風谷さんの仕事ぶり買って頼んでるんですよ。今日の取引先だって、この間のイベントに来てた人が声かけてくれたんですよ。経験させるのも上司の仕事でしょ?」

「彼女は総務部だ。制作部の仕事は制作部で出来るように采配するのがお前の仕事だろ?」

「永富さんらしくないですね、そんなに感情をむき出しにするなんて。よっぽど風谷さんのこと大事なんですね。それとも、俺に取られるとか心配してるんですか。言っときますけど、俺は彼女のこと好きですよ。でも仕事は別です」
〜〜〜〜〜

私が戻ってくると、2人の話が途中で止まって
「じゃあ、風谷さん、行こうか」
城崎さんが私の方へ近づいてきた。

「永富さん、じゃあ、行ってきます」
「・・・気をつけてね」
永富さんは寂しそうな瞳をしながら、無理して笑っているように見えた。

車に乗ってから、私は何をしたらいいんだろうと城崎さんに確認した。
「城崎さん、私、何をすればいいですか?」
「隣にいるだけでいいよ。もし、英語で話すとか、英語の書類とかあったら、対応してもらえる?」
「わかりました」

「俺がプレゼンするからさ、こんな機会もなかなかないしね」
< 33 / 83 >

この作品をシェア

pagetop