ときめきの香りは貴方ですか?
城崎さんの早い鼓動と私の高まった鼓動を感じる。

もっとこうしていたい。

私も城崎さんの背中に両手を回してぎゅっとした。

しばらくして、城崎さんが体から離れて、
「俺、風谷さんのこと、気になっていた。でも、それはいつの間にか好きに変わっていたよ。俺と付き合ってもらえませんか」

私は恋愛経験がない。
ときめきから始まった私の恋は、全て城崎さんだった。

「私も城崎さんが好きです」
私は、溢れる涙でぼやけながらも、城崎さんを見つめていた。

城崎さんの顔が近づく。
「愛里・・・」
城崎さんは私の名前を呼んで、そっと口づけをした。

私は、恥ずかしくて城崎さんの目を見れず、顔を伏せると
「愛里、俺を見て」
そういって、優しく私の顔を上げて、目を見つめる。

城崎さんの瞳に捉えられる。吸い込まれる。

優しく、ゆっくりと何度も唇を重ね、唇を吸われるような口づけに、初めての私は本能で応えている。

城崎さんの唇が離れ、私の額に城崎さんの額をあてて
「はぁ~・・・ごめん・・・初めて・・・だった?」
私は涙目で頷いた。
「嫌、だった?」
私は首を左右にふり
「嬉しいんです」
それだけ答えるのがやっとだった。

城崎さんは私の頭を撫でながら
「今日は疲れたでしょ。明日、11時に迎えにくるから、泊まる準備して待ってて」
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