ときめきの香りは貴方ですか?
しばらくして優也さんが着替えて、伸びをしながら部屋から出てきた。

「う~ん、眠い。わぁ、和食の朝ご飯!」
「昨日の残りと鮭買ってたので。あっ、だし巻きと甘い卵焼き、どっちが好きですが?」
「どっちも食べるよ。いただきます」

優也さんが子供みたいに、2種類の卵焼きを半分づつお皿に入れて食べ比べていた。

「毎日食べたいけど、我慢するから、金曜日の夜は、毎週泊まりに来てね」
毎週、のんびりさを味わってた休日は、大好きな人とのどきどきの休日になりそうだ・・・

月曜日の朝、出勤すると、永富さんが席に座っていた。
「おはようございます」
「おはよう」
永富さんはいつもと変わらず、優しい笑顔だった。

優也さんと付き合っていることは誰も知らない。
なっちゃんや龍太にも言っていない。

優也さんと廊下ですれ違う時、抱きついてくるんじゃなかと思ってたけど、全く近寄ることもなく、今までと変わらない対応だった。

「これ、風谷さん、お願い。永富さん、ちょっと打ち合わせいいですか」

契約書を私の机に置いて、直ぐにその場を離れた。

仕事に私情を挟んでる余裕ないよね。
そう、そうだよね。仕事に集中しないと。

次の日、優也さんから依頼があった契約書のチェックが、永富さんから戻って来たので、制作部に持っていった。

「城崎さん、この契約書、チェック終わりました」
「あぁ、ありがとう、そこ置いといて」
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