甘い毒に溺れ堕ちて





4月最終日。合同食事会の日を迎えた。



「──ええっ! 来栖さん、食べたことあるの!?」

「あるよ〜。甘いのとしょっぱいの。しかも1列」

「1列!? 丸ごと!? うーわ贅沢〜」



階段の踊り場にて。

自慢する茉耶と羨む藍くんに挟まれながら、洗い場で手を洗う。



「卵焼きの他には?」

「クッキー! 春休みに私の家で焼いたんだけど、型抜きがめちゃめちゃ上手で。味もサックサクで甘くて、ほっぺた落っこちそうになっちゃった☆」

「へぇ〜。おうちで」

「小学生の頃はまあちゃんのおうちで遊んでたんだよね。バレンタインの時期はお菓子パーティーしたり。誕生日も風船とかリボンでお部屋を飾りつけてて。あのパウンドケーキ、ふわっふわで美味しかったなぁ〜」



懐かしいエピソードに、身を縮こまらせる。


もう5年以上も前のことなのに覚えててくれてたんだ。

ケーキも飾りつけも、1ヶ月かけてひねり出したアイデアだったから、好評だったのはすごく嬉しい。


けど……。



「1度食べたら、ガッツリ掴まれちゃうから! ほっぺた落っこちないように気をつけてね!」

「わかった。まぁ、既に心はガッツリ掴まれてるけどね」
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