甘い毒に溺れ堕ちて
至福の一夜
「──ちゃんと持ったか? せーのでいくぞ」

「うん。大丈夫」



両手でちゃぶ台の脚を掴み、父の掛け声で持ち上げた。

そのまま隣の和室に運び、畳の上に下ろした後、そっと壁に立てかける。



「うわー、こりゃすごいな。固まってる」

「水拭きで取れる?」

「どうだろうなぁ。とりあえず1回乾拭きで取って。細かいところはウェットティッシュで拭いてみて」



父は俺にちゃぶ台の掃除を任せると、リビングに戻って掃除機をかけ始めた。

洗面所に向かい、洗面台下の収納から雑巾とウェットティッシュを取って、バケツに水を溜める。


先月から始まった大掃除も、今日で7日目。

最初は嫌で嫌でたまらなくて、『正気かよ』と真顔で詰め寄りそうになったほど。


過去の自分に……いや、真彩ちゃんに感謝してもしきれないな。

初日からテンションだだ下がりで起きるのも憂鬱だったけど、モーニングコールのおかげでなんとか頑張れた。

彼女の応援がなかったら、きっと今頃、五月病を発症して心身ともにやられてたかもしれない。
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