甘い毒に溺れ堕ちて
引き出しからガムテープを取り、女子トイレへ。

粘着力が弱まった部分を剥がして、ドアにしっかりと貼り直す。


子どもからお年寄りまで、誰が見ても一目でわかるユニバーサルデザイン。


本人の嗜好で鮮やかな色合いのものが多く、視界に入るたびに目がチカチカするけれど、老眼の彼女にとっては大切な目印。

また、どこに何があるか、探す手間を省けるようにと、家具家電にも同様に貼られている。


ガムテープを引き出しにしまい、バケツを和室の入口に移動させた。

乾拭きしてホコリを取り除いた後、雑巾でちゃぶ台の脚を水拭きしていく。



「そろそろ飯にするぞー」



ある程度汚れを拭き取ったところで、父が襖の陰から顔を覗かせた。

バケツに雑巾をかけて中断し、振り子時計が鳴るリビングへ。

今朝スーパーで購入したのり弁当とお惣菜を開封する。



「そういや、今日こどもの日だったな」



テレビに映るこいのぼりを観ながら、父が思い出したように呟いた。
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