甘い毒に溺れ堕ちて
「懐かしい。毎年飾ってたなぁ」

「えっ、こいのぼりあるの?」

「ああ。ここまで大きくはないが、お父さんが結婚するまで毎年飾ってたんだよ。兜も一緒にな」

「へぇ。そんなに長く」

「もちろん藍の分もあるぞ。こいのぼりと兜」

「えええっ!?」



初耳の情報が多すぎて、頭がついていかない。

父が言うには、俺が小学生の頃まで飾っていたそう。現在はどちらも実家の押し入れにしまっているとのこと。



「こいのぼりはこっちで揚げてたんだが、覚えてるか?」

「……なんとなく」



幼稚園から小学生まで毎年遊びに行っていたので、薄っすら記憶には残っている。

ただ、てっきり他所の家のものだと思い込んでいた。


帰省に合わせて飾ってくれていたのか……。気づけなくて申し訳ない。もっとちゃんと目に焼きつけておけば良かった。


昔話に花を咲かせつつ食事を済ませて、お掃除再開。

和室に戻り、隙間に溜まったホコリをウェットティッシュで取り除いたら……。



「お父さんはこっちの棚拭くから、藍はそっちを頼む」

「はーい」
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