甘い毒に溺れ堕ちて
降りてきた運転手のお姉さんに頭を下げる。

スライド式のドアが開けられると、車内からミントグリーンのニットを着た老婆が現れた。



「ただいま。アイさん」

「おかえりなさい。華子さん」



彼女からトートバッグを受け取り、背中に手を回してゆっくりと家に入る。



「あらぁ、なんかいい匂いがするねぇ」

「ついさっきお茶を淹れたんですよ。ウーロン茶ですけど、飲みます?」

「ええ。今日はたくさん運動したからねぇ。早速いただこうかしら」



リビングのドアを開け、座椅子に彼女を座らせた。

キッチンから湯呑みに注いだお茶を持ってきて、彼女に渡す。



「ありがとう。はぁ、いい香り」

「いえいえ。今日は運動したんですか?」

「ええ。お手玉とけん玉をしたわ。サチエちゃんがお手玉がとっても上手でね。1度に3個も回してたのよ」

「3個も! すごいですね〜。華子さんは何個回したんですか?」

「2つよ。投げるのはあんまり得意じゃなくって」

「2つでも充分すごいですよ。僕なんか1回もしたことないので」

「そうなの? やってみると楽しいわよ〜。コツはね〜……」
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