甘い毒に溺れ堕ちて
帰宅して20分、最低でも10分は、彼女のお土産話に耳を傾けるのがこの家でのルール。


こどもの日だから、小さい頃に楽しんだおもちゃで遊んだのか。


熱弁しながらもお茶を飲み干した彼女から湯呑みを受け取る。



「最初はこういう感じで、1個から始めるの」

「1個からなんですね。ちなみに、お昼ご飯は何食べました?」

「お昼は、お豆腐のハンバーグと、こいのぼりのお饅頭を食べたわ」

「こいのぼり! 今日はこどもの日でしたもんね」

「そうなのよ! だからね……」



すると突然、ガサゴソとトートバッグを漁り始めた。

何か持ち帰ってきたのだろうか。

ちょっぴりドキドキしながら見守っていると、「はいどうぞ!」と取り出した物を俺の頭にかぶせてきた。



「これは……」

「兜よ! お昼ご飯の後にみんなで折ったの! 名前も入ってるのよ〜」



外して見てみたら、中心の三角の部分に、黒いペンで『あい』と書かれていた。


とめはねはらいがハッキリとした、やや右上がりの文字。

名前まで書いて俺にプレゼントするのならば……。
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