甘い毒に溺れ堕ちて
そう答えると、茉耶はアメ玉を2つ開封して、一気に口に含んだ。

どうりで授業中なんか甘い匂いがするなぁと思ったら、こっそり舐めてたのか。



「まあちゃんも食べたら?」

「うーん……でもなぁ……」

「大丈夫だって! 1個ならバレないよぉ」



後ろめたい気持ちを感じつつも、授業に集中できなくなるのは困るので食べることに。


普段は、いや、今までの人生で、こんな背徳感のある行為は絶対しなかったし、そもそもしようとも思わなかった。

授業初日から上の空で板書取れませんでした、なんてことは避けたいからね。


甘酸っぱい味を堪能しながら、「先生ごめんなさい!」と職員室に向かって謝罪の念を送る。



成見(なるみ)くん、髪の毛サラッサラだねー」



ふと耳に届いた名前。茉耶と2人で視線を教室の真ん中に移す。



「自分で染めてるの?」

「ううん。美容院でやってもらってる」

「だいたい何ヶ月で染め直してんの?」

「ワンシーズンに1回。お金かかるし。最初の頃は市販のやつで染めてたんだけど、家族が間違えて使ったらいけないと思って、プロに任せてる」

「そうなんだー。やっぱ痛かった?」

「めちゃめちゃ。今はもう慣れっこだけど、最初は痛すぎてハゲるかと思った」
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