甘い毒に溺れ堕ちて
人だかりの中心で笑うのは、今朝自己流の検温をしてきた藍くん。

新学期が始まって1週間だけど、端正なルックスと人懐っこい性格も相まって、休み時間が来るたびにクラスメイトに囲まれている。


へぇ、わざわざ美容院まで。まぁ、白髪染めのつもりで使われちゃったら大変だもんね。



「金色かぁ」



ポツリと呟かれた声に視線を戻す。



「私は何色が似合うと思う?」

「そうだねぇ、暖色系か寒色系なら、暖色系かな。赤み系の茶色とか、ピンクを混ぜた茶色とか。オレンジも良さそう」



自身の毛先をつまむ茉耶を見て、意見する。


柔らかな焦げ茶色の髪、色白の丸い輪郭、小動物を連想させる黒目がちの瞳。

社交的な性質と小柄で華奢な体型もふまえると、温かみを感じる色が合いそうだ。



「染めるの?」

「いやいや! ちょっと気になっただけ! 染めるのは大人になってから! そもそも染められるかもわかんないし」



ブンブンと激しく首を横に振る茉耶。

そうだよね。金銭的にも、大人になってからのほうが楽しめると思う。


高校生で──入学から1ヶ月でブリーチする人のほうが珍しいよ。
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