甘い毒に溺れ堕ちて
電話越しで聞いた独特な自己紹介をされた。


……連休明けだから、余計に眩しく感じるのかな? 空も晴れてるし。

単純に、前回のリベンジを果たせて嬉しいからってだけなのかも。



「ほら、夢でも幻でもないでしょ?」

「っ……!」



顔を近づけてきた藍くんが、私の頬をちょんちょんと突っついた。声を抑えた反動で、肩が大きく跳ね上がる。



「わー、真彩ちゃんお肌すべすべだね。モチモチしてる〜」

「わかった! わかったから!」



再び女子たちから黄色い声が上がり、体温は急上昇。

頬を触る手を優しくどけて、「早く行きな」と背中を強めに押す。



「まったくもう……」

「今日も平常運転ですなぁ」

「ああ。見てるこっちもむずむずしてきた。大胆にも程がありすぎるだろ」



ほんっっとうに、油断も隙もないったらありゃしない。

人懐っこいのはいいけど、藍くんの場合は不意打ちが多いから心臓に悪すぎる。

朝から注目の的になるくらいなら、サプライズで驚かされるほうがずっとマシだよ。


軽やかな足取りで駐輪場に向かう彼を睨みつけた。
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