甘い毒に溺れ堕ちて





昼休み。体操服に着替えた私は、体育館裏の東屋を訪れた。



「お客様、本日はどうされますか?」

「こないだと同じ、背中と腰と肩で。余裕があればふくらはぎもお願いします」



久しぶりのマッサージ。2週間ぶりなのもあってか、今回は下半身も要求された。

長椅子を跨ぐ体勢で立ち、まずは肩周りから揉んでいく。



「力加減はどうですか?」

「もうちょい強くしてもいいかも」

「このくらい?」

「ああ〜っ。うん、それくらいで」



押し揉むたびに、「うぐっ」「ゔあっ」と呻く声が漏れる。


今日はいちだんと硬いなぁ。全体重をかけないとなかなかほぐれない。前回が木の板なら、今回は鉄の板みたいな感じ。



「家ではストレッチしないの?」

「してるよ。朝と夜に、5分ずつ」

「5分? 短くない?」

「だって時間ないんだもん。毎日毎日朝早くからあちこち動き回って。目かっ開いてやってるけど、なけなしの体力じゃあ、一瞬でも眠気が来たら即やられるんだよ」
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