甘い毒に溺れ堕ちて
背中を揉みながら数日前を振り返る。


2泊3日の温泉旅行。泊まった場所は雄大な自然に囲まれた老舗旅館。

部屋に露天風呂が付いていたため、男子組と女子組とで二手に分かれて入った。


綺麗だったなぁ。ちょうど満月の日と重なってたみたいで、空にはまん丸のお月様が浮かんでた。

晩ご飯の後は、私たち子どもはローカル番組を観たけれど、お父さんとお母さんはもう1度入り直したそうで。2人で月を眺めながらお酒を呑んだらしい。



「月見酒かぁ。なんて贅沢な」

「運転するから度数低めのだけどね。2日目も朝早く出発して……」



朝食のバイキングを楽しんだ後は、観光地巡りへ。


伝統工芸品、特産物をふんだんに使ったデザート、ご当地キャラとコラボした雑貨類。


地元にいる時は全く湧かないのに、見知らぬ土地に来ているという高揚感からか、購入欲が刺激された。


けど、欲望のままに買うと、お土産にあてるお金が減ってしまう。買うとしても1つだけ。

どれにしようかと悩んでいたら……。



「お父さんがね、内緒でお小遣いくれたの!」
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