甘い毒に溺れ堕ちて
勉強会
「──他にご希望の箇所は?」

「左の肩甲骨の、出っ張ったところ」

「ここ?」

「そう。かゆいから掻いて」



5月も中旬に突入した、火曜日の昼休み。

今日も今日とて東屋に呼び出された私は、大魔王様こと藍くんの命令に従っていた。


美容師さんじゃないんだけど……と内心突っ込みを入れつつも、指示された部分の周辺を指の腹で掻く。



「ありがとう。ああ〜、気持ちいい〜」

「それは良かった」

「真彩ちゃんもない? あるなら掻いてあげようか?」

「ううん。大丈夫」



本当はうなじのあたりがかゆいけど、我慢できないほどでもないし、手が届く範囲だし。

後ろから大声で挨拶してきたみたいに、またイタズラされるかもしれないしね。


肩周りを中心に揉みほぐして、今日のマッサージが終了。

隣に腰を下ろすと、「失礼しまーす」とお決まりのように膝の上に頭を乗せてきた。
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