甘い毒に溺れ堕ちて
「やっぱケアとかしてる?」

「一応、日焼け止めは塗ってる」

「ハンドクリームは使ってないの?」

「冬の間だけ使ってた。最近は化粧水と乳液を、スキンケアの時に余った分を塗ってる」



そういうあなたも綺麗でしょ。傷1つないじゃない。

口に出さなかったのは、ささくれと二枚爪を見つけてしまったから。


……水仕事が多いのかな。洗濯に加え料理もするなら、1日に何回も洗うわけだし。

家庭的って言ってたの、豪語じゃなくて本当なのかも。



「羨ましい。俺保湿してもこれだからさ」

「今の時期はまだ乾燥するもんね」

「真彩ちゃんが塗ってくれたら1日で回復しちゃったりして」

「え」

「うそうそ。冗談」



私の手をパッと離すと、「さ、続き続き」と再び鉛筆を握った。


肩と背中、腰とふくらはぎときて、次は手ですか。

マッサージするのは別にいいけど、保湿はちょっと……。自分でもできることだしさ。


私はただのクラスメイトであって、あなたのママじゃないんだよ。


ノートを見つめる横顔に心の中で言い返して勉強を再開した。
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