甘い毒に溺れ堕ちて
くしゃりと目を細めて笑った藍くん。

先ほどの笑顔と少し違って、どこか甘さを感じるのは、多分胸が高鳴っているせい。


……本当、なにからなにまでずるいなぁ。どうしてこうもタイミングが絶妙なんだろう。

私も藍くんとなら場所関係なく楽しめそうだと思ってるけど、こんな素直に口になんて出せない。


当日は落ち着いた色の服で行くとしますか。

また妄想劇場が開かれたら、それこそデートどころじゃなくなっちゃうからね。


一足先に色を決めたその時、すぐ近くでぐうぅぅ〜とお腹の鳴る音が聞こえた。



「あはは。また鳴っちゃった。帰りにコンビニにでも寄ろうかなー。真彩ちゃんも一緒にどう?」

「あー……今日はちょっと用事が……」



寄り道したい気持ちは山々だが、あいにく今日は幼稚園バスが車検でお休み。

仕事中の母の代わりにお迎えに行かなければならない。


バッグからスマホを取り出して時間を確認すると、降園時間から5分が過ぎていた。



「ごめん! また明日!」
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