甘い毒に溺れ堕ちて
彼の返答を待たず、スマホをパーカーのポケットに入れて、急いで駐輪場を出た。

走りながら自転車に跨がり、遅刻ギリギリで登校した時のように猛ダッシュで向かう。


もう、何やってんの私。

余裕を持って早めに切り上げたのに、ダラダラ長話してたら意味ないじゃん……っ。


信号に恵まれたおかげで、止まることなく到着。

自転車から下りて髪の毛を整えていると、遊具の近くにいたエプロン姿の若い女性が門の前までやってきた。



「こんにちは〜。お迎えですか?」

「はいっ。占部 晴日と占部 晴月のお迎えに参りましたっ。姉の、真彩です……っ」

「晴日くんと晴月ちゃんのお姉さんですね」



息切れしながら名乗る私に「大丈夫?」と優しく声をかける彼女。

しばらくすると、学び舎から2人の姿が見え、「「おねえちゃーん」」と声をハモらせて駆け寄ってきた。



「ありがとうございました」

「いえいえ! 気をつけて帰ってね」

「「せんせいまたねー!」」



対応してくれた彼女にお礼を言って幼稚園を後にした。

歩道の内側に2人を寄せて、自転車を押しながら歩く。
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