甘い毒に溺れ堕ちて
「どこにも行ってはないけど、土曜に俺の家で藍とカードゲームした。先月に大会があったんだけど、3位で予選通過してさ」

「3位!? すごいね! おめでとう〜」

「ありがとう。それで、次に県大会に出ることになったから、特訓に付き合ってもらって……」



拍手する茉耶の隣で、気まずさを感じながらうんうんと静かに相づちを打つ。


肩の荷が下りた一方、藍くんとは若干距離ができてしまった。


喧嘩はしていない。挨拶も毎朝交わしている。

勉強会も、場所は公園の東屋に変わったけど、いつも通りだったし。

モーニングコールは2日間ともスリーコール以内に出ていて、『藍くんファイト! って言って♡』と猫なで声でおねだりされた。


原因は、恐らく──。



『あと、おじさんとおなじにおいもしたよね!』

『ほんとに、ほんとにちょっとだったけど、したんだもん!』



脳内で金切り声が響いたのを引き金に、先週の出来事が走馬灯のようによみがえってきた。


大変だったの一言に尽きるくらい、大変だった。


喧嘩の仲裁は数え切れないほどやってきたのだが、外では初めてだったため、穏便に済ませるべく、まずは晴月の肩を持った。
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