甘い毒に溺れ堕ちて
半分寝ぼけ眼で茉耶に答える藍くん。

会話のラリーに間が空いたタイミングで「トイレ行ってくるね」と言い残して離脱した。


……感じ悪いよね。来てすぐ離れるなんて。

けど、あの場にいたら絶対私にも話が回ってくると思ったから。


階段を下り、洗い場の縁に手をついて、ふぅ、と溜め息をつく。


事の顛末を話した結果、『おじいちゃんと一緒に住んでいるか、お父さんと服の貸し借りをしているのかもね』という憶測で納得してもらえた。


これにて事態は収束。……したかに思えたのだけれど、私だけ追加で説教を食らってしまって。

30分も拘束されたせいで予定が狂い、勉強する時間が減って……あぁ、思い出したらまたイライラしてきた。


今度は、はぁー……と長めに溜め息をつく。


わかってる。ほんのちょっぴり煙っぽく感じただけで、疑うのは良くないって。

父親と同じ世代の先生からも、時折タバコの匂いがしてたんだもの。家族に吸ってる人がいるのかもしれない。
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