甘い毒に溺れ堕ちて
何度も自分に言い聞かせるけれど……うっかり再会してしまったらと思うと、気が気でなくて。


もう顔と名前を覚えられてしまったから、ドラッグストアの時みたいにはいかない。あの派手な頭じゃあ、即見つかる。

2人ともべったり懐いちゃったから絶対駆け寄って……。そしてまた、高い高いをおねだりするはずだ。



「あと少し。あと少しだ」



梅雨が来るまで……は、私の良心が耐えきれなかったから、今月まで。

珍しく今週はモーニングコール以外の要求がないので、最低限の会話で済ませ、隙を見て逃げるようにしている。


心が痛いけど、あの子たちのため。健康を守るためだから。


このまま何事もなく週末が来てくれれば……。



「あと少しって?」



後ろから聞こえた声に、ビクッと大きく肩が跳ね上がった。

恐る恐る振り向くと、階段の上から彼が仁王立ちで私を見ている。



「ビックリした……。いつから……」

「溜め息ついてたところから。トイレ行くんじゃなかったの?」

「あー……なんか、急に引っ込んじゃったみたいで。日向ぼっこしてた」
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