甘い毒に溺れ堕ちて
階段を降りてきた藍くんに笑顔で答えるも、口はへの字のまま。

偶然通りかかったからではなく、明らかに異変を感じて追いかけてきたことがうかがえる。



「じゃあ、私はこれで……」

「待って」



逃がさないとでも言うように、シャツの上から強く腕を掴まれた。


あぁ、やっぱり無理があったか……。


観念し、洗い場を背にして彼と向かい合う形で立つ。



「俺の思い過ごしかもしれないけど、気になったから言うね」

「う、うん」

「俺のこと、避けてるよね?」



単刀直入に尋ねられた。

澄んだ黒い瞳が、揺らぐことなく、私を真っ直ぐと見つめている。


怒らせちゃったからかな。今日はいつもに増して鋭く感じる。

一瞬でも気を抜いたら、丸ごと呑み込まれてしまいそう。
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