甘い毒に溺れ堕ちて
ハッと我に返った彼が、とっさに口をつぐんだ。



「夜……? どこか出かけてたの?」

「……うん。危険な場所ではないけど」

「1人? 誰かと一緒?」

「……3、4人」



泳ぐ目を隠すように、黒い瞳が斜め下を向く。


藍くん、別に責める気はないんだよ。

私も、1人で出歩きはしないけど、疲れた時はベランダに出て夜風に当たってるから。


知りたいのは、匂いの出どころなの。



「……誰にでも、秘密にしたいこと、人に言えないことはあるよね」

「……」

「今回はほんのわずかだったけど……もし先生に気づかれてたら、きっと大問題に発展してたと思う」



前回も今回も、私がいたから良かったけど。

これが生徒指導の先生だったら、今度こそは厳重注意だけでは済まなかっただろうと思う。


目を合わせない彼の両肩を掴み、再び意を決して尋ねる。



「未成年の前で平気でタバコを吸うような輩と遊んでたの?」

「……輩って言わないでくれる?」
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