甘い毒に溺れ堕ちて
断片的な情報だけで、勝手に非常識な人だと決めつけた。

私だって、大切な人をそんなふうに言われたら、たとえ友達でも黙ってなんかいられない。

私も人のこと言えないな。ワンクッション置いて、適切な表現に変えて発言すべきだった。



「……でも、誤解されっぱなしは嫌だな」

「え?」

「百聞は一見にしかずって言うし。近い将来お世話になる可能性も、ないとは言い切れないもんな」



顔を上げたら、顎に手を当てて考え込むポーズを取っていた。

独り言を呟くように話を進める彼にキョトンとしていると……。



「真彩ちゃんは、髪切る予定ある?」

「いや……。近々切ろうかなとは思ってるけど、いつ切るかまではまだ」



夏場はまとめやすく、冬場は防寒になるという理由で、中学からずっとロングヘア。

基本、胸下から腰のあたりまでをキープしているのだが、なかなか切りに行く時間が取れず、現在はおへそがすっぽり隠れるまでに伸びている。


事情を話すと、「ならちょうどいいや」と藍くんは謎の独り言を呟いて……。



「来月の土曜、空いてたらデートしようよ」

「いいけど……どこに行くの?」

「ヘアサロン。その人、俺の担当美容師さんだから。真彩ちゃんにも紹介するよ」
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