甘い毒に溺れ堕ちて
砥上さんに呼ばれ、パーカーを脱いだ藍くん。

順番は先に予約していた藍くんから。



「真彩ちゃん、こっちこっち」

「さ、座って座って!」

「ありがとうございますっ」



手招きする彼方さんと徹平さんに会釈し、待合スペースに移動。3人で輪になる形で椅子に座った。



「改めまして、彼方です」

「徹平です! 真彩ちゃん、だっけ?」

「は、はいっ」

「何て呼ばれるのが好き? まーちゃん? まやまや? うらちゃん? うらべっち?」



座って5秒で徹平さんが身を乗り出してきた。

サラサラのオレンジ髪から香る瑞々しい柑橘系の匂いが、ふわりと鼻腔をくすぐる。


すると、戸惑う私を見かねた彼方さんが、「はいはいそこまでー」と腕を広げて阻止した。



「ったく、お前ってやつは……。嬉しいのはわかるけど、この子高校生だから。お客さんじゃないんだから」

「そ、そうだな……」

「ごめんね真彩ちゃん。こいつあだ名マシンでさ。初対面の人にもすぐ付けようとすんの」
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