甘い毒に溺れ堕ちて
微笑みを浮かべながら、こっそりとTシャツで手汗を拭う。


金欠のお子様には10年早かったかな……。


常連客のホストさんたちと話してた時から引け目は感じてたけど……なんか小さく鼻歌聞こえるし。

お世辞が紛れてる可能性もなくはないけど、美容師さんにとっては仕事の一環。

変に謙遜したら気まずい空気になるので、ここは素直に受け取っておこう。


チョキチョキと髪の切れる音を聞きながら、選ばせてもらったティーン向けのファッション雑誌を読む。



「あの……」

「はい?」

「藍くんとは、いつからのお知り合いなんですか?」



ヘアカラー特集のページを開いたまま、鏡越しに尋ねた。



「すみません、急に。遊びに行く仲だと聞いたもので……」

「ううん。一回りも離れてるなら気になるよね」



踏み込んだ内容なのにも関わらず、にこやかに返してくれた砥上さん。

戸惑いの欠片すら見せないあたり、やはり大人は違うなと、改めて年齢差を実感する。
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