甘い毒に溺れ堕ちて





「ただいまー」



帰宅して靴を脱いでいると、ドタバタと慌ただしい足音が聞こえてきた。



「あ、おねえちゃんだった!」

「おかえり! きょうもがっこうおつかれさまです!」

「ん。晴日も晴月も、幼稚園お疲れ様でした」



迎えてくれた2人の頭をポンポンと撫でて、そのまま3人でリビングへ。



「ただいま」



ドアを開けると、キャベツを切っている最中の母と目が合った。



「やっと帰ってきた。ずいぶん遅かったわね」

「……ちょっと、色々と話し込んでて」



壁掛け時計を見たら、ピッタリ17時。

強調するほどの時間ではないのだが、放課後に道草を食うことは、母の中では非常識に当てはまる行為。

たとえ門限内でも、用事がある場合は事前連絡をしないと、あからさまに刺々しい口調になる。



「あの、さ」

「何」

「こ、今度の土曜、友達と遊びに行きたいんだけど」
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