甘い毒に溺れ堕ちて
2階のファストファッション店に入った私たち。

男女別に分かれて見ていると、茉耶が興奮気味に肩を叩いてきた。



「懐かしい〜。幼稚園の頃にめちゃめちゃ人気だったよね! まあちゃんもアニメ観てた?」

「うん。毎週リアルタイムで観て、録画してた分と2回観てた」

「私も! 主題歌覚えたくて、何回もオープニングの部分繰り返し観てたんだよね〜」



ハンガーにかかった見本品を取ると、鏡の前で合わせ始めた。自分も陳列棚から1枚取って、広げて見てみる。


ゆったりシルエットの半袖Tシャツ。

バックプリントデザインで、色ごとに違うキャラクターの絵が印刷されている。


アニメはとうの昔に終わった。CMもゼロ。
レンタルビデオ店には置かれているものの、パッケージはやや色褪せていた。

それなのになぜ……? と、ほんの数日前までは不思議に思っていたのだけれど、藍くん情報によると、どうやらリバイバルブームの影響らしい。



「可愛い〜。ユニセックスだからちょっと大きめだけど。部屋着として買おうかな」

「いいんじゃない? その色、残り少ないし」

「そうだよね〜。あぁでも、こっちの無地のやつも捨てがたい……」
< 203 / 213 >

この作品をシェア

pagetop