甘い毒に溺れ堕ちて
『うん。もうお目当ての物は買ったから。期限も迫ってるし。だから……』

『ありがとう! じゃあ鉛筆削りの分としていただくね』



思惑を瞬時に見抜かれ、交渉に失敗。

逆に呼び止めたことで注目を浴び、とうとうクラスメイトから『付き合ってるの?』と勘違いされてしまった。


スマホのメッセージアプリを開き、彼の連絡先をタップする。

チャット画面には、鉛筆についての質問と、デートに心を躍らせる様子が表示されている。


普段は遅刻ギリギリなのに、こういうところは抜かりないんだから。



「大丈夫かなぁ……」



不安が口からこぼれる。


いつ行くのか、どこに行くのかは、まだ決まっていない。

住む世界も育った世界も全くと言っていいほど違うけれど……恐らく一般家庭育ち、だと踏んでいる。お金持ちの御曹司なら、クーポンにあんな反応示さないだろうし。


個人的には、バスで移動できる範囲内でお願いしたい。欲を言うなら、徒歩か自転車で行ける場所がいい。

やんわり金欠だと伝えてはいるから、遠出はしなさそうだと思うけど。
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