甘い毒に溺れ堕ちて
藍くんは山積みになった買い物かごからひょいと1つ取ると、購入リストが書かれたメモ帳を確認し始めた。


……あまりにもサラリと、直球で返されたもんだから面食らってしまった。


じゃああれは、ただの口実?

メモ帳を見ているあたり、おつかいは本当っぽいけど……。


呆然と立ち尽くす私の視線を感じた彼が、ふとこちらを向く。

クスッと控えめな笑い声が聞こえたかと思うと、私の耳元に顔を寄せてきて……。



「おつかいデートも、案外悪くないね」

「なっ……」



わざとらしく強調して囁いた藍くん。

してやったりな顔でペロッと舌を出すと、手までつないできた。そのまま食料品売り場へと連れて行かれる。


そういえば、まだ藍くんとは2人きりになってなかったっけ。

元々は2人での予定だったから、気持ちはわからなくもないけども……。



「ああ〜、どうしよう」

「え、な、何?」

「結婚したらこんなふうに回るのかなって想像したら、ニヤニヤが止まんなくなっちゃった」
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