甘い毒に溺れ堕ちて
こんなに人がうじゃうじゃいる場所で、ましてや1番混むであろう夕方の時間帯に。

人目もはばからず妄想劇場まで開かれて、もう身も心も限界寸前。


冷房のおかげで体温の急上昇は抑えられたけれど、心臓はバックンバックンと今までに聞いたこともない音量で暴れている。


帰ったら、何食わぬ顔で渡すのかな。「はいどうぞ」って。それか「ん」ってぶっきらぼうに袋を突き出したりして。


彼女でもないただのクラスメイトと手をつないで買ってたなんて知ったら、果たしてご家族はどう思うのだろうか……。


すれ違うお客さんからチラチラと視線を浴びつつも、なんとか買い物を終えた。



「よし。次は真彩ちゃんだね」

「え?」

「買い残してたの、あったでしょ?」



再び手をつながれて、エスカレーターに乗って2階へ。

速歩きで連れてこられたのは、Tシャツを買ったレディース服のお店だった。



「さ、時間もないし行くよ」

「えええ、ちょっと」
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