甘い毒に溺れ堕ちて
来栖さんに服を選んでいた時だってそうだ。



『まあちゃん、いつも値下げしてる服しか買わないから。たまには好きな服を着てほしいなって』

『まあちゃんのおうち、兄弟が多いからってのもあるんだけど……まあちゃんママがお金に厳しくてね。お小遣いも、双子ちゃんが生まれて初めてもらったらしくて』

『まあちゃんパパは優しいんだけど、今単身赴任でおうちにいないから……』



弟くんは塾通い、双子ちゃんはワンランク上の教育で有名な天音(あまね)幼稚園に通っていて。

来栖さんによれば、双子ちゃんが生まれてからは辞めてしまったが、真彩ちゃんも弟くんと同じ塾に通っていたらしい。


いわゆる、教育ママってやつか。

そう言われたら、入学式は新入生代表の挨拶を務めていたし、休み時間は毎時間教科書を読んでいた。

進学校に入ったのも、親の意向が関係しているのかもしれない。



「……会いたい」



込み上げた思いが口からこぼれ落ち、スマホを抱きしめる。


同じ幼稚園出身だと知った時は運命だと思った。

だが今、脳内に思い浮かぶのは、涙目でワンピースを眺める姿。



「……真彩ちゃんも、だったんだね」
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