甘い毒に溺れ堕ちて
「アイさん、いるー?」



ドアのノック音が聞こえて、ハッと我に返った。

「はーい」と返事をして席を立ち、ドアを開ける。



「ごめんね、ゆっくりしてるところに」

「ううん。どうかしました?」

「そっちに、カエルさんいないかしら? さっき虎珀に聞いたんだけど、『帰ってきた時にあげただろ』って言われて……」

「あぁ、ありますよ」



机の上に置かれた2匹のカエルを手に取った。

持ってきて見せると、「良かったぁ〜」と安堵した表情を浮かべた。



「ごめんなさいね。最近どうも物忘れが多くって。まだまだ若いもんにはとは思ってたけど、もう歳かしらね」

「そんなこと。今の時期は天気も不安定ですし、僕も疲れた時は頭の回転も鈍くなりがちですし。こないだなんか、スマホをポケットに入れてたのを忘れて、スマホがないってパニックになってましたもん」



それはただのスマホ依存症だろ。

自分で自分に突っ込みを入れた後、彼女の手元に視線を落として……。



「それは……?」

「あぁ! そうそう! 実はね……」
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