甘い毒に溺れ堕ちて
せり上がってきたムカムカがのどに達し、早口で言い残してその場から離れた。

手のひらで口を覆い、えずきそうになるのを抑えてトイレに駆け込む。



「っ……うっ……」



ドアを閉めて、ゆっくりしゃがみ込む。


全部、吐き出してしまいたい。


心の奥底に沈めた感情、鍵をかけて閉じ込めた思い。

全て、綺麗に流してしまいたい。


けど、そんなことしたら次の授業に出られなくなるから、深呼吸を繰り返して鎮静させる。



「ふっ……ううっ……」



抑え込んだ思いが涙となって溢れ出し、頬を伝う。

封印した記憶がよみがえり、脳裏に流れ込んでくる。



『おかあさん! きょうね、ようちえんでどんぐりひろっ……』

『うるっさいっ! 今忙しいんだから黙ってて!』



引っ叩かれた小さな手から、どんぐりが床に散らばり落ちた。


馬鹿だね私。傷つくってわかっていながらも想像を繰り広げるなんて。


どんなに願ったって、過去には戻れない。


私が私で生まれてしまった以上……笑顔を向けられることは、この先、もうないに等しいのに。


昼休みが終わるギリギリまで、個室の中で静かに嗚咽を漏らした。
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