甘い毒に溺れ堕ちて





「──起立、礼」



クラス委員の号令でホームルームが終了した。

放課後を告げるチャイムが鳴り、クラスメイトたちがわらわらと教室を出ていく。



「まあちゃん、良かったら一緒に帰らない?」



教科書とノートをバッグに入れていると、帰り支度を済ませた茉耶がやってきた。

住んでいる区域は違うが、帰る方向は途中まで同じなので、時間が合う時はたまに2人で帰っている。

けど、今日は……。



「ごめん。今日自転車だから」

「そっか。けっこう雨降ってるけど、大丈夫?」

「うん。雨宿りして帰るから。ありがとう」



外は今朝と変わらず。午前中は一時的に弱まったものの、午後からまた強まり出している。

そんな悪天候の中、家まで送ってもらうのは申し訳ないから。


「茉耶ママによろしくね」と伝えて、教室を後にする茉耶を見送った。

スマホを取り出してメッセージアプリを開き、【雨宿りして帰る】と文字を打ち込む。



「真彩ちゃん」
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