甘い毒に溺れ堕ちて
送信ボタンを押したその時、今度は藍くんに声をかけられた。



「まだ、帰らない?」

「うん。レインコートは持ってきてるけど、びしょ濡れになるだろうから。藍くんは?」

「俺ももうちょっと待とうかなって。さっき家族に連絡したら、ゆっくりでいいよって返ってきたから」



いつもは門限を守っている彼も、今回は身の安全を優先させるらしい。無理に帰って風邪引いたらいけないしね。

雨足が弱まるまで勉強しようと思ったが、他にも雨宿り中のクラスメイトがいたため、場所を移動することに。



「どう?」

「意外と少ない。けっこう空いてる」



藍くんに続いてドアの小窓から中を確認し、図書室に入った。

受付カウンターに座る図書委員の人に会釈して、忍び足で奥に進む。



「あそこにする?」

「うん。いいよ」



座る場所を探していたら、ちょうど窓際のカウンター席が空いていた。

そっと椅子を引いて座り、スクールバッグから教科書とノート、ペンケースと一式取り出す。



「……体調は、大丈夫?」
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