甘い毒に溺れ堕ちて
体を寄せ合い、声を潜めて盛り上がる。



「この中だったら何が好き?」

「うーん、迷うなぁ。今の気分なら豚しゃぶかな? おろしポン酢かけて食べたい」

「美味しいよね。夏が近づくとポン酢の出番が増えてくるよな。かけるだけで食欲復活するし」

「いくらでも食べられそうだよね」

「まさに夏の救世主! ポン酢様様だよ」



「腹減ってきた〜」とお腹を擦る藍くんに顔がほころぶ。


不思議だな。ただ話してるだけなのに、胸のあたりがポカポカと温かい。

まるで分厚い雲に覆われていた空が徐々に晴れていくような、そんな感覚。


ほんの数時間前まで吐き気を催していたのが嘘みたいだ。



「あっ、ゼリー」

「えっ、どこどこ」

「さっきの、綴じ込み付録みたいなところに……」



ページをめくる彼の手を止めて、雑誌を覗き込むように身を乗り出した、その時。



「「あいたっ」」
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