甘い毒に溺れ堕ちて
長方形のテーブルとパイプ椅子だけが置かれた簡素な部屋。

生徒指導の先生の前には、しかめっ面を浮かべた彼が座っており、テーブルには長方形の青い箱が1つ。



『だからちげーって言ってんだろ』

『じゃあどうしてバッグに入ってたんだ』

『さあ。誰かが勝手に入れたんじゃねーの』



知らない。俺じゃない。

危機的状況に陥っているのに、先生と一切目を合わせようとしない。



『占部は、何か知っているか?』

『えっと……』



痺れを切らした先生が、助けを求める眼差しで私に話を振ってきた。


私も知らない。校則違反してたなんて、今知った。


でも──1つ、心当たりがあった。



『私の、勘違いかもしれませんけど……怪しい人物は、見ました』

『怪しい人物? どこで?』

『教室です。休み時間に、板書を写真に撮ろうとしたら、画面に、成見くんのかばんを漁ってる人が映って──』
< 30 / 213 >

この作品をシェア

pagetop