甘い毒に溺れ堕ちて
ごめんね。心の中でそう呟きながらアイスの感想を述べる。

話題が逸れた今、謝罪するのは逆に追い打ちをかけることになると判断したから。


でも。だけど。



「じゃあさじゃあさ! 次のデートはアイス食べに行かない? お互いにオススメを紹介し合ってさ! 臨時収入は、まだ残ってる?」

「うん。けど、バス移動はちょっと厳しいから、近場でいい?」

「わかった! チャリで行ける範囲で考えとく!」



敬礼ポーズをしたのち、「よっしゃあ!」とガッツポーズをした藍くん。


屈託のない笑顔、無邪気な感情表現。

いつもなら微笑ましさを感じるけれど、胸が張り裂けそうに痛い。


明るく笑い飛ばせば乗り切れると思ったんだろうな。

確かに、辛い時こそよく笑えって言うし。
ネガティブ思考も行きすぎると精神に異常をきたす恐れがあるもんね。


けどね、もう、バレてるから。

藍くんは上手く言いくるめることができたと感じていそうだけれど……全然、誤魔化しきれてないから。



『ありがとう。助けてくれて』
『あの人のことは、彼に任せればいいから』



お礼を言われた時も、2回目の口封じをされた時も。

目の奥に光がなくて、むしろ安心というより若干恐怖を覚えたほど。


その瞳はまるで──。



『ねぇ、真彩』
『行かないで……』



表情は違えど、保健室で見た時と同じ。

ほの暗く、寂しい色をしていた。
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