甘い毒に溺れ堕ちて
憂鬱だった。心が折れそうにもなった。

けど……やめたいとは、1度も口にしなかった。



『武藤』



ドアの音がして、生徒指導室から成見くんと先生が出てきた。

私たちに向かって、武藤くんがお辞儀をする。



『迷惑かけてごめんなさい。俺がやりました』

『……ほんとだよ。気に食わねーなら直接言えよ。この不器用優等生が』



一歩間違えたら、人生を粉々にされていた。

殴り飛ばしたくなるぐらいの迷惑を被ったのにも関わらず、成見くんは「もういいよ」とデコピン一発で済ませた。


それから再度事情聴取が行われた。


本来なら退学処分になってもおかしくないのだが、自白したことで減刑され、停学処分に。


しかし、本人いわく、『道徳心に欠ける行為をした人間がいていい場所じゃない』と、自ら退学を申し出たそうで。

夏休み明けには、教室から姿を消していた。



『──なぁ、どうして俺に構うの?』
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