甘い毒に溺れ堕ちて
「いいよ。思いっきり泣いて」

「で、も……っ。服が……っ」

「大丈夫だよ。洗えばいいし。私も、藍くんほどじゃないけど、洗濯はできるほうなんだから」



そのまま抱き寄せ、後頭部を撫でる。


まずは言い出しっぺの本人が素直になってもらわないと示しがつかない。


それに、虎珀さんから頼まれたんだ。『あの子のこと、よろしくね』って。

父親の彼でさえ、まぶたを真っ赤に腫らしていたのだから。


あなたを泣かせないで帰るわけにはいかないんだよ──。



「藍くん」

「っ……」

「藍くん」

「ふっ、ううっ……」

「……藍くん」

「っ、あああっ……」



ポタッポタッと、肩に涙が滴り落ちていく。


藍くん。藍くん。──らんくん。


何百回、何千回、何万回。

耳にタコができるくらい呼んであげる。


泣きじゃくる彼の背中をトントンと擦りながら、何度も名前を呼び続けた。
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